統合失調症の治し方、家族の接し方~その6つのポイント

統合失調症の治し方、家族の接し方~その6つのポイント

統合失調症

 100人に1人がかかるとされる病「統合失調症」。決して特殊な病ではなく、本当は誰でもかかる可能性のある身近な存在です。統合失調症は、単に“病気”ということでは収まらない、私たちの大切な側面を知らせてくれる存在でもあります。医師の監修のもと公認心理師が、統合失調症の治し方、接し方についてまとめてみました。

 

<作成日2019.9.22/2024.6.1>

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飯島慶郎医師  

この記事の医療監修

飯島 慶郎 医師(心療内科、など)

心療内科のみならず、臨床心理士、漢方医、総合診療医でもあり、各分野に精通。特に不定愁訴、自律神経失調症治療を専門としています。プロフィールの詳細はこちら

 

この記事の執筆者

三木 一太朗(みきいちたろう) 公認心理師

大阪大学卒 大阪大学大学院修士課程修了

20年以上にわたり心理臨床に携わる。様々な悩み、生きづらさの原因となるトラウマ、愛着障害が専門。『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』など書籍、テレビ番組への出演、ドラマの制作協力・監修、ウェブメディア、雑誌への掲載、多数。

プロフィールの詳細はこちら

<記事執筆ポリシー>

 ・公認心理師が長年の臨床経験やクライアントの体験を元に(特に愛着やトラウマ臨床の視点から)記述、解説、ポイント提示を行っています。

 ・管見の限り専門の書籍や客観的なデータを参考にしています。

 ・可能な限り最新の知見の更新に努めています。

 

 

もくじ

統合失調症の治療の6つのポイント

 ・薬物療法について
 ・電気けいれん療法について

 ・入院について
 ・リハビリテーションについて

 ・精神療法について
 ・家族が行うサポート

 家族が行うサポート<時期別のポイント>

 

 

 →統合失調症の原因、診断とチェックについては、下記をご覧ください。

 ▶「統合失調症の原因と背景~11の仮説

 ▶「統合失調症の診断とチェック~症状など7つの視点から

 

 

専門家(公認心理師)の解説

 統合失調症は、人類学者のグレゴリー・ベイトソンのダブルバインド(二重拘束)論などでその心理的、環境的な要因が指摘されてきました。ベイトソンの説は一度は否定されましたが、近年はオープン・ダイアローグや当事者研究の登場によって再び心理的、環境的な要因が注目されるようになってきました。実際、私の経験でも、統合失調症用の症状が見られるケースでは、家族との不和や環境のストレスが背景にあることがうかがえることがあります。実際に、入院が必要なほど妄想が悪化しながら、家族の対応が変わることで短期に症状が収束するようなケースもあります。もちろん、薬のサポートが必要なケースも多く安易には考えられませんが、従来のような「脳病」とだけ見るようなとらえ方はもはや通用しません。先達の研究からも、個別のクライアントの家庭や文化的背景をしっかりとらえて、そこをケアしていくような関わりが必要であることはいうまでもありません。

 また、トラウマ臨床からは、トラウマによるフラッシュバックが妄想、幻覚のような形で現れることもあります。統合失調症と診断されていたケースが実は発達性トラウマ(複雑性PTSD)であることも決して稀ではありません。

 

 

統合失調症の治療の6つのポイント

統合失調症の治療は下記のようなことがポイントとされます。

 

1.本人の希望が一番大切

 病気の治療にあたっては、本人の希望が何よりも大切です。急性期の激しい状況でさえも、無理やりの入院は極力避け、本人の気持ちに寄り添うことが大切とされます。

 

 「二重帳簿」と呼ばれるように、正気を失っているかに見える状態でさえも、実は正常な意識を保っていることは多くの専門家から指摘されていることです。本人の意志の尊重は単なる人道上の配慮のためではなく、実際の回復に大きく影響します。

 

 近年の障害のケアは、「生物-心理-社会」という統合モデルの中でも「社会」を中心に組み立てられます。 
 人生は薬を飲むためにあるのでも、治療にささげるためにあるのでもなく、社会の中でその人らしく生きるためにあります。

 

 本人がどのような人生やキャリアを生きたいのか?そのことを中心に、本人の希望が実現することをサポートすることが何よりも求められています。
 万一、残るハンデキャップによって方向転換が余儀なくなるとしても、それも本人が気づき進むべき道に向かっていくものです。

 

 

2.適切な診断を受ける

 幻聴があればすなわち統合失調症、というわけではありません。一時的に幻聴様の症状が出ることや、他の問題から統合失調症と間違われるようなケースもよくあります。そうした際に、投薬がさらに症状を悪化させて「やはり、統合失調症だった」と誤解されてこじれてしまうケースも指摘されます。自殺等のリスクはケアしながらも、生育歴や現時点でのストレスや周囲との関係性などをしっかりと確認し、適切な診断を行うことが大切です。

 

 

 

3.治療は早いほど予後は良い~違和感を感じたら早めに相談する

 発症から5年までの病気が進行する時期にできるだけ早く治療することがその後に大きく影響します。
 前駆期に気づいて対処すれば、発症自体を予防できる可能性もあります。ただ、前駆期に気づくことは一般の人では難しいものです。統合失調症が疑われる場合は、病院や保健所、精神保健福祉センターに早めに相談しましょう。

 

 

4.適切な治療を受ける

 適切な治療を受けることが大切です。特に急性期は、民間療法では対処できません。必ず専門の病院にかかることが大切です。「精神科」「神経科」が担当科になります。メンタルクリニックでも対応しています。 
 病院は大きければ良いということばかりでもありません。医師によって得意な領域や経験も異なります。
 長丁場になりますから、立地も不便ではなく、通うことが苦ではないところを選ぶことが必要です。
 本人と先生との信頼関係も大切ですから、本人や家族にとって気軽に質問、相談ができる先生を探すことも大切です。

 

 
5.統合失調症の治療は、薬物治療とリハビリテーションが主~オープンダイアローグも注目されている

  基本的な治療としては、単剤治療とリハビリ(デイケア、精神療法)で、入院をしても1週間程度で退院をさせて、あとは社会の中でケアしていく、というものです。近年は、オープンダイアローグと呼ばれる精神療法が高い効果を上げ注目されています。

 

 
6.環境、特に社会に居場所を作ることが回復に影響します

 回復は、環境や人の働きかけで変わっていきます。社会に居場所がなく、病院内で見捨てられているような状態になると逆に状態が悪くなります。

 社会に居場所があり、何かに守られていると感じられ、楽観的で肯定的な働きかけが続くと回復していきます。
 精神科医の中井久夫氏は「分裂病は本来回復しやすい病気であって、ただ、それを妨げる内外の要因もまた多いということなのかもしれません」としています(中井久夫「最終講義」(みすず書房))。

 

 

 

 

薬物療法について

 統合失調症の激しい症状を沈静化させるために薬が用いられます。
   

<薬物療法についての大切なポイント>

・決められた量を服用しましょう

 自分で減薬や断薬したりしないようにしましょう。回復期、寛解期は特に気をつけましょう。中断すると6~8割のケースで1年以内に再発します。デポ剤と呼ばれる、2~4週間持続する注射もあります。

 

・効果が出るまでの期間を知りましょう

 抗精神病薬が効果を発揮するまで4~6週間かかります。それまでしっかりと服用することが大切です。

 

・睡眠は薬の効果の目安です

 薬が合っていれば睡眠の改善に現れます。服用後1週間程度したら、睡眠が取れているか主治医にチェックしてもらいます。

 

・副作用が出たら相談する

 副作用で困っている場合も、勝手に服用をやめずに医師に相談しましょう。

 

・必要最低限の量を処方してもらいましょう

 必要最低限の量を用いることが大切です。多ければ多いほど良い、ということはありません。薬の種類や量が多いために過鎮静になっている場合、慢性化している場合もあります。医師を信頼することは大切ですが、本人や家族も一定の知識を持ち相互に意見を交換しあうということは必要です。

 

・薬の狙いを理解しましょう

 薬を理解し信頼すると薬効は高まると言われています。逆に理解がなく恐れている場合は効き方が悪くなるとも言われています。処方への納得を得ることは必要最低量で高い効果を得ることにつながります。現在処方されている薬の狙いなど、わからないことは積極的に質問しましょう。

 

・多剤大量処方されている場合は、セカンドオピニオンを求めてみましょう

 多くの種類を飲むと、効果や副作用の見極めも難しくなります。
 抗精神病薬は2種類まで(非定型抗精神病薬は基本的には同時に1種類)が基本とされます。※ケースや状況によって異なります。不安な場合はセカンドオピニオンを求めてみてもよいでしょう。

 

・回復後も服薬は継続しましょう

 寛解後も基本的に一定期間は飲み続ける必要があります。

 

 ただし、患者さんの人生は薬をのむためにあるのではなく、社会の中でその人らしく生きるためにあります。再発を完全におさえようとして薬をたくさん処方されて活動量が落ちてしまうことは本末転倒になります。本人の希望をしっかりと伝えて、リスクを計算の上で必要最低量を服用する、あるいは場合によっては医師と十分な相談の上、飲まずに経過観察という場合もあります。

 

<定型抗精神薬>

 古くから用いられている薬です。錐体外路症状と呼ばれる副作用が大きく、現在では、非定型抗精神病薬が第一選択として使用されることが多くなっています。
 ただ、定型抗精神薬もケースによっては用いられています。

 

・妄想、幻覚を和らげる

 ハロペリドール、ブロムペリドールなど

・過敏、興奮を和らげ、気持ちを落ち着かせる

 クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロペリシアジン

・気持ちを持ち上げる、幻覚を和らげる

 スルピリド

 

参考)「定型抗精神病薬 日経メディカル」

 

 

<非定型抗精神病薬>

 非定型抗精神病薬は、90年代後半から登場した薬で、陽性症状だけではなく、陰性症状の改善にも効果があり、副作用が少ないことが特徴です。
 代謝系の副作用があり、体重増加などから糖尿病になりやすくなります。定期的に血糖値を測る必要があります。糖尿病の人には用いることができません。

    
・SDA(セロトニン・ドーパミンきっ抗薬)

 ドーパミンだけではなく、セロトニン受容体もブロックします。
 非定型抗精神病薬の中では副作用は出やすい傾向があります。抗パーキンソン薬を併用することがあります。リスペリドン、ペロスピロン、ブロセナリンがあります。 

 

・MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)

 ドーパミン、セロトニンだけではなく、アセチルコリンなど多くの神経伝達物質の受容体をブロックします。運動系の副作用が少ないですが、代謝系の副作用が出やすい傾向があります。オランザピン、クエチアピン、クロザピンがあります。    

 
・DSS(ドーパミン系安定薬)

 ドーパミン部分作動薬とも呼ばれる種類の薬です。ドーパミンが過剰な部分ではおさえ、少ない部分では強める働きをします。アリピプラゾールがあります。    

 

参考)「非定型抗精神病薬(ドパミン・セロトニンきっ抗薬) 日経メディカル」

   →「非定型抗精神病薬(ドパミンD2受容体部分作動薬) 日経メディカル」

   →「非定型抗精神病薬(多元受容体作用抗精神病薬:MARTA) 日経メディカル」

 

 

 

<症状や副作用の緩和に補助的に用いられる薬>

・抗パーキンソン薬

 アカシジア(足がムズムズする)、ジストニア(身体の緊張や動作の異常)、パーキンソン症状(手のふるや、身体の硬直など)をおさえるために用いられます。  

 

・睡眠薬

 特に急性期に睡眠がうまく取れない場合に睡眠薬を使用します。

 

・抗不安薬

 不安が強くなったり、イライラ、緊張をおさえるために使用します。
 抗不安薬は依存性も強いため、短期間に必要最低限を用いることが大切です。

 

・気分安定薬

 過活動や気分の波を安定させるために用いられます。

 

・抗うつ剤

 統合失調症の人には抗うつ剤を用いることは通常ありません。
 興奮を高めてしまうおそれがあるからです。ただ、強い抑うつや自殺の危険性がある場合に用いられることがあります。

 

 

・副作用の内容

 ケースによって生じる副作用は異なります。副作用を恐れず、まずは病気の症状を沈静化させることに専念しましょう。副作用は飲み始めは強く出て、時間とともに収まっていく傾向があります。

・手が震える
・舌がもつれる
・口が勝手に動く(遅発性ジスキネジア)

・無表情になる
・首が引きつる
・目が上を向く

・突然の高熱、筋肉の硬直、意識障害(悪性症候群)

・姿勢が前かがみになる
・手足がムズムズする

・じっとしていられなくなる
・便秘
・唾液が出にくかったり、出過ぎたり

・脈が速くなる
・立ちくらみ

・眠気

・だるさ
・ぼんやりする
・月経が止まる

 

・性欲の減退
・射精ができない
・乳汁分泌

・体重増加※血糖値が増加していないかを定期的に測る必要があります。

 

 

 

電気けいれん療法について

 統合失調症やうつ病で薬が効かず、緊張病症状が見られたり、自殺念慮など危険な状態にある患者に行われます。前頭部に100ボルト程度の軽い電流を5~10秒間流して人工的にけいれんを起こす治療法で、「電気けいれん療法(ECT)」と呼ばれています。

 

 歴史的には非人道的であるとして偏見の目で見られることが多い治療法でした。しかし現在では麻酔下に行われ、痙攣も起こさず苦痛も副作用はありません(前後の記憶が失われたりすることはあります)。現在では主として通常の薬物療法で十分な効果が得られない場合に用いられ、そうした状況にある患者さんの福音となっています。

 

 

 

入院について

 急性期などは入院が行われます。陽性症状は1,2週間程度で収まることが多く、海外では短期間で退院となります。医療制度が異なる日本では入院期間が長い傾向(平均300日)があります。長い入院が回復をかえって遅らせる場合もあります。最近は外来での治療も増えてきています。

 

 

 

リハビリテーションについて

 統合失調症は、社会における居場所や役割があると回復が早いことが昔から知られています。社会的に孤立した環境では、幻覚や妄想に引っ張られてしまいます。そのため、リハビリテーションを行いながら、社会での居場所を取り戻していくことが重要です。

 

 リハビリテーションは、専門施設と自宅でも行われます。自宅では、主に生活リズムを整えることを心がけます。何よりも十分な睡眠をとることが大切です。

 専門施設としては、病院併設のデイケア、地域の共同作業所、職業訓練所です。回復が進めば、本格的な就職の前にパートタイムで働くなど徐々に社会で働くようにします。

 

 デイケアでは、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)と呼ばれる治療プログラムも提供されています。
 SSTは、日常生活技能、疾病の自己管理、社会生活技能を向上させるトレーニングを受けます。
 専門のスタッフのサポートを受ける中で能力を回復させていくことができます。

 

 

 

精神療法について~オープンダイアローグなど

 統合失調症そのものを精神療法だけで治すことは難しいのですが、回復期、寛解期では重要な役割を担っていて、社会に復帰、適応するために必要な考え方や行動の改善を行います。

 認知行動療法などが中心となりますが、発症を予防したり、遅らせたり、改善に有効であることはさまざまな研究で知られるようになってきています。妄想や幻覚とうまく付き合う方法を身につけることも学びます。
 (妄想は、無視する、返事しない、聞き流す、知らん振りをする、が対処の原則です。)  

 
 統合失調症の場合、深く内観するようなことは混乱を招くおそれがあるため行いません。

 

(参考)近年、注目されている「オープンダイアローグ」

 フィンランドで開発された「オープンダイアローグ」という手法が近年注目されています。入院や薬物治療がなくても統合失調症が平均12日で問題解決する、など従来の統合失調症治療から見ると驚異的な実績が報告されています。ただし、複数の治療者の関わりが必要なことなどから、実施している機関がまだまだ少ないことが課題の一つです。

参考文献斎藤環「オープンダイアローグとは何か」(医学書院)

 

 

 

家族が行うサポートのポイント

・病気について正しい知識を持つ

 統合失調症はさまざまな症状が起きます。また時期によって対応策が変わります。副作用への対応も必要です。本人はうまく伝えることができない場合もあります。医師との間をつなげる役割をするのも家族です。
 本人の心情を理解するためにも、正しい知識を持つことが大事です。

 

 

・統合失調症の本人の心情を理解し、批判・説得したり、過干渉になったりしない

 妄想や幻覚にも本人にとって信じるに足る理由や不安があります。その気持に寄り添い、よく話を聞いてあげることが大切です。

 説得やしっせき、批判をしたりしないようにしましょう。また、基本的に統合失調症は親の育て方のせいなどではないとされます。罪悪感を持つと接し方が不適切なものになる恐れがあります。家族は近すぎず、遠すぎず、適度な距離で安定していることがとても大切です。

 

 

・家庭が安心して休息できる場とする

 家庭は休息やリハビリテーションの場ともなります。批判や評価、過度の心配をされると安心して休息することができません。

 事実、イギリスでの研究では、感情表出(EE)の度合いから高い家族、低い家族とを分けて高EE家族、と低EE家族とを比較した場合に、高EE家族では9カ月以内に半数が再発しましたが、低EEでは13%にとどまりました。その差は4倍に及びます。感情表出とは、批判的言動、本人への敵意、情緒的な巻き込まれ(過保護、自己犠牲的献身、思い入れなど)のことをいいます(出典:丹野義彦ほか「臨床心理学」(有斐閣))。

 家族の接し方は、再発の防止や回復に大きな影響があります。本人の状況を理解し、過干渉になり過ぎないようにしましょう。
 

 

・社会的な支援を活用する

 統合失調症など精神疾患については、医師、家族で完結するのではなく、地域のサポートを活用して行うことが国の方針として挙げられています。障害者自立支援法、精神保健福祉法、障害者雇用促進法などさまざまな法律によって、経済的支援、生活訓練、就労支援が提供されています。

 各自治体の相談窓口にて相談し、適切な支援を受けるようにしましょう。    
 

参考)「精神保健福祉センター 全国一覧」

 

 

・家族も自分の人生を楽しむ

 統合失調症の治療は長丁場の取り組みになります。家族自身も自分の人生を楽しみ、病気に対して良い意味で楽観的に構えることも大切です。

 

 

 

家族が行うサポート<時期別のポイント>

・前駆期の対応のポイント

 症状に疑問を感じたら、早めに精神科の受診をすすめましょう。     
 

 

・急性期の対応のポイント

 激しい陽性症状が現れますが、説得したり、一緒に不安になったりせずに、落ち着いて、相手の気持ちを受容します。ただ、暴力に及ぶ場合は受容ではなく、距離を取ったり、警察の助けを借りてください。

 

 本人は不安や妄想から自分を守るための行動を取っていることは理解してあげてください。興奮が収まらない場合は、抗不安薬や抗精神病薬によって、興奮をしずめます。

 

 

・消耗期の対応のポイント

 この時期は、消耗したエネルギーを充填している時期です。そのため、ずっと寝ていたり、ダラダラしていたり見えますが、激励したり、小言を言ったりせずによく休ませるようにしましょう。

 

 

・回復期の対応のポイント

 意欲が湧いてきて、活動量が増えてくる時期です。生活リズムを整えることが大切です。焦りが出ても無理せず、服薬を続けながらゆっくりとリハビリをサポートしてあげましょう。

 

 

・寛解期の対応のポイント

 社会に復帰していきますが、症状がなくなっても油断せず、服薬を続けるようにアドバイスをしましょう。

 

 

 

 →統合失調症の原因、診断とチェックについては、下記をご覧ください。

 ▶「統合失調症の原因と背景~11の仮説

 ▶「統合失調症の診断とチェック~症状など7つの視点から

 

 

 ※サイト内のコンテンツを転載などでご利用の際はお手数ですが出典元として当サイト名の記載、あるいはリンクをお願い致します。 

(参考)

中井久夫「最終講義」(みすず書房)
伊藤順一郎「統合失調症」(講談社)
岡田尊司「統合失調症」(PHP研究所)
功力浩「やさしくわかる統合失調症」(ナツメ社)
福智寿彦「家族が統合失調症と診断されたら読む本」(幻冬舎)
蟻塚亮二「統合失調症とのつきあい方」(大月書店)
山下格「精神医学ハンドブック」(日本評論社)
丹野義彦ほか「臨床心理学」(有斐閣)
中井久夫「世に棲む患者」(筑摩書房)

広沢正孝「「こころの構造」からみた精神病理 広汎性発達障害と統合失調症をめぐって」(岩崎学術出版社)
「統合失調症の広場 統合失調症に治療は必要か No.1 2013春」(日本評論社)
「こころの科学 統合失調症の治療の現在 No.180」(日本評論社)

斎藤環「オープンダイアローグとは何か」(医学書院)

など